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作家・黒川裕子のブログ

「で、次は何書くの?」児童文学者協会・秋の一日講座を受講してきました

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11/30(土)に、児童文学者協会開催の「秋の一日講座」を受講してまいりました。

主に児童文学分野の新人賞応募者(投稿者)に向けた講座かと思われます。

講義の内容についてはこちらをご覧ください。↓

 

 

那須田淳さん、戸森しるこさんという人気児童文学作家の先生方が講師とあって、教室はほぼ満員。児童文学に真剣にとりくむ方たちの熱気が、開講前からむんむんとただよっていました。

(私は、お昼まで代々木上原東京ジャーミイ・トルコ文化センターのチャリティバザーで遊んでいたので、ぎりぎりの時間にすべりこみ^^;)

講座は、戸森しるこさんの講演「子どもかもしれない」と那須田淳さんの「創作ノート:いま、求められる物語は?」、そしてお二方によるトークショー「時代をどう切り取り、どう書くか」の三部構成。

どう書けば、いまの子どもたちに受け入れられる児童文学を創作できるのか?

 という点について、たくさんのヒントがちりばめられた、とても充実したトークでした。物語の作り方、キャラクターの作り方など、具体的に参考になるアドバイスもいくつかありました。

 

印象に残った言葉……

「タブーをつくらない」(戸森しるこさん)

「(物語のなかで)年齢に応じた承認欲求にこたえる」(那須田さん)

「どんなものを書くか、より、どう書くか」(那須田さん)

 

全体的にほんわかしたやさしいムードでしたが、実際におっしゃってることをよくよくきくと、じつに厳しいというか、、「これをきいたところで、いいもの書けるわけじゃないよ?そこは、わかってますよね?」という、一種突きはなしたものを終始感じていました。

(いえあのお二人は、実際本当にやさしい方たちなのですが!)

まあ、当たり前といえば当たり前。 

第一線で書いてるプロが、甘いこと言うわけないですよね。

あのお二人が苦心してやってることを同じ濃度でできるか?

っていったら、できるわけない!

ので笑

 

創作やキャラクターの作り込みに関しては、プロ・アマチュア問わず、どんな作家でも自分なりのやり方というものがあると思います。

マチュアだから、プロのやり方を真似ればいいという単純な問題でもない。その先生は、その先生に一番フィットしたやり方を、お話してくださっているというだけで。

どんな創作論も、その場できいてわかったつもりになるのは簡単なんですよね。

 

そして、この「わかったつもり」というのはすごくクセモノでして……。

自分の手を動かして実際に(たとえ不様な結果になっても)アウトプットしていかないかぎり、何もわかってないのと一緒なんですよね……。

わかったつもりで物マネをしつづけていつか本物にするもよし、何にもわからないまま、ひたすら書きつづけて自分のメソッドを確立するもよし。

効率の問題でもないので、どちらがいいとも悪いともいえませんし。

私は、こうした講座には、何か具体的なアドバイスを求めてというより、ひたすら、刺激と出会いをもとめるために行っているような気がします。外部からの刺激が、内省と同じくらい、自分にとって重要だと身に染みているからです。

 

おまえなら、その質問にどう答えるんだ?

おまえは、どんなものを、どんなふうに創っていきたいんだ?

 

と自問自答しながら、きいていました。 

すでにプロとして活躍している作家さんも何人もいらっしゃったけれど、その方たちも、刺激を求めて参加されているのではないかなと思ったり。

 

後半、私をふくめその場にいる新人作家に「デビュー作で工夫したことは?」と一言ずつたずねるコーナーがありました。

じつはかなり緊張するタイプなので、「カロリー高めを心がけた(何が?)」「あまりビビらないようにした」などと、わかったようなわかんないようなことを、支離滅裂ぎみに答えて、すっかり場を困惑させてしまいました笑

ごめんなさい、正直、児童書デビュー作(「奏のフォルテ」)のときは何にも考えてなかった……。

(もっというと、ノベルスデビュー作のときも何にも考えてなかったね!!)

まあ、新人賞ってすべて結果論の世界ですよね。

落ちたら落ちたで、いいストックができたと思って、次を書くしかない。

 

ちなみに黒川は、講談社児童文学新人賞には二回応募しています。一度目は一次落ち→二度目で佳作入選。ノベルスデビュー(中央公論新社C・NOVELS)のときは、たしか一度目最終選考→二度目二次どまり→三度目で大賞受賞だったかな?

あと、福島正実記念SF童話賞に一度応募して最終選考に残ってます。

戦歴をみると、めちゃくちゃ華々しいわけではないけれど、新人賞的には、けっこう器用な方なのかもしれない。

器用といっても、まあ、それだけ。

プロデビューしたら、器用であるってこと以上の意味はないのが辛いところ……。

 

30日の秋の一日講座の最大の収穫は、講座終了後に、那須田先生がこう声をかけてくださったことかもしれません。

 

「で、次は何書くの?」

 

これだ。プロとかアマとか関係ない。作家はやっぱり、これにつきる。